RADWIMPS山口智史、9年ぶりのステージ復帰「声で鳴らすドラム」の挑戦

コラム

2024年12月、RADWIMPSのドラマー山口智史さんが、約9年ぶりにステージへ復帰しました。

彼はかつて「ミュージシャンズ・ジストニア」という難病に苦しみ、演奏活動を長期間休止せざるを得ませんでした。

しかし、音楽への情熱は消えることなく、山口さんは新たな道を切り開くために挑戦し続けました。そして、彼の復帰ライブで披露されたのは、まさにその挑戦の結晶である「声で鳴らすドラム」でした。

この新しいドラムセットを使うことで、山口さんは再び音楽の世界に戻り、観客たちに新しい音楽体験を提供しました。


「ミュージシャンズ・ジストニア」とは

「ミュージシャンズ・ジストニア」とは、特に演奏家に見られる神経疾患で、意図しない筋肉の収縮により楽器を演奏することが非常に困難になる病気です。

山口さんの場合、右足に症状が現れ、バスドラムの演奏ができなくなってしまいました。この病気の進行は予測が難しく、完治する見込みも立たないため、山口さんは2015年に演奏活動を休止せざるを得ませんでした。

自らの音楽キャリアに大きな影響を与えたこの病気は、山口さんにとって非常に大きな試練でした。

しかし、山口さんはその後も音楽から離れることはなく、病気と向き合いながら音楽の新しい表現方法を模索し続けました。その結果が、今回の「声で鳴らすドラム」という革新的なドラムセットの開発につながったのです。


研究と挑戦の始まり

2020年、山口さんは慶應義塾大学の藤井直敬准教授と出会い、共同で「ミュージシャンズ・ジストニア」に関する研究を始めました。この研究を通じて、山口さんは音楽を声で表現する新たな方法を思いつきます。

和太鼓の演奏で使われる「口伝(くでん)」という方法に触発された山口さんは、声を使ってリズムや音を表現する技術に着目しました。

さらに、山口さんはヤマハと協力し、音声を検知してドラムの音を再現する新たなドラムセットの開発を進めました。

このドラムセットは、山口さんの声をセンサーでキャッチし、それを基にバスドラムの振動を起こして音を生成します。この技術により、山口さんは足を使わずに、声だけでドラムを演奏することが可能になりました。

これにより、病気により演奏が制限されていた彼は、ついに再び音楽を自由に表現できるようになったのです。


9年ぶりのステージ復帰

2024年12月、山口さんはついに新しいドラムセットを使って、9年ぶりにライブパフォーマンスを行いました。

この復帰ライブには、RADWIMPSのファンをはじめ、多くの音楽愛好者が集まり、彼の挑戦を見守りました。

ライブでは、山口さんが「声で鳴らすドラム」を駆使して、RADWIMPSの名曲を演奏。従来のドラム演奏とは異なる、まったく新しい音楽体験をファンに提供しました。

山口さんはライブ後、インタビューで「音楽を演奏する楽しさを再び思い出しました。音楽は僕の人生そのものです」と語り、感無量の様子でした。

観客からは温かい拍手と歓声が送られ、山口さんの復帰を心から祝福する声が響きました。このステージ復帰は、彼にとっての大きな勝利であり、音楽家としての再出発を意味しています。


「声で鳴らすドラム」の可能性

山口さんが開発した「声で鳴らすドラム」は、単なる彼の復帰にとどまらず、音楽の可能性を広げる革新的な技術でもあります。

この新しいドラムセットは、足を使わずに声で演奏するため、障がいや体調に制約のあるミュージシャンにとっても有用なツールとなり得ます。

特に、音楽活動に制限を感じているアーティストにとっては、この技術が新たな表現方法を提供する可能性が大きいと言えるでしょう。

山口さんは、「声で鳴らすドラム」をただ自分のために開発したのではなく、音楽界全体、さらには障がいを持つアーティストたちに新しい道を切り開くためのツールとして捉えています。

この技術が普及すれば、音楽教育やリハビリテーションの現場でも活用されることでしょう。


今後の展望と期待

山口さんは「これからも新しい音楽表現を探求し続けたい」と意欲を示しており、今後も「声で鳴らすドラム」を用いた音楽活動を続けていくとしています。

彼の挑戦は、彼自身の音楽キャリアにとどまらず、音楽界全体に新しい風を吹き込むことでしょう。

また、彼が切り開いた道が、今後多くのミュージシャンやアーティストにとって、希望の光となることを期待しています。

山口智史さんの復帰と「声で鳴らすドラム」による革新は、音楽の未来を大きく変えるかもしれません。今後の彼の活動に注目し、さらなる挑戦と成果を見守りたいと思います。

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